谷川嘉浩さんの「スマホ時代の哲学」を読みました。
結構前から読みたいなと思っていて、アマゾンのほしい物リストに入れていた本です。
この度、やっと読むことができたので、とても嬉しいです。
読んでみて、やはりこの本は自分が読むべきだったなと確認できました。本って不思議と惹かれるものがありますよね。そういう直感は往々にしてあたるものなので、なるべく見逃さないようにしていきたいものです。
どう「一人でいる」のか
まずは一人でいることを定義づけ、紹介するところから。
ハンナ・アーレントという方の、一人でいることを3つの様式に分けた考えを紹介するパートです。
アーレントは「一人であること」を三つの様式に分けています。
それが、<孤立><孤独><寂しさ>です。谷川嘉浩著 スマホ時代の哲学
一口に「一人でいる」と言っても、その状態と向き合って考えてみるとこれだけの種類があるものなのだと気付かされます。
全てひっくるめて「一人ぼっち」という言葉で片付けられかねない状態ですが、自分自身の解釈によっていかようにでも変化するのだなと。
確かに、一人でいることがポジティブな時とネガティブな時があります。
それを言語化、定義づけするだけで、一人でいるけども、どういう状態なのか。それを認識できるので、こういう教えは大切にしていきたいです。
<孤立><孤独>に関する解説
アーレントは、他の人とのつながりが立たれた状態を<孤立>と呼びました。言い換えると、<孤立>は、何らかのことを成し遂げるために必要な、誰にも邪魔されずにいる状態を指しています。
(中略)
それに対して<孤独>は「沈黙のうちに自らとともにあるという存在のあり方」だと説明されます。(中略)<孤独>にある時の私たちは、心静かに自分自身と対話するように「思考」しているということです。谷川嘉浩著 スマホ時代の哲学
<寂しさ>についてはここでは割愛しますが、こうして孤立と孤独を定義づけてみると、あながち悪いことではないのだということがわかります。
現代社会における自分達の過ごし方には、この状態が決定的に欠けているということもわかります。
何かを実現したい時、これらの状態なしに達成することは非常に困難でしょう。
スマホが生活に入り込んでから、より一層難しくなったというのは誰にとっても当てはまるものだと思います。
ただ、そんな時代だからこそ、あえて自分と向き合ってみる。
その大切さを気づかせてくれるイントロとして、この箇所は強く作用します。
「ずっとやりたかったこと」を大切にしすぎない
心から「本当にやりたい」と思っていても、それは簡単に変化します。知識や経験が少なく、想像できる範囲が狭い時は特にそうです。
自己啓発文化は、「本当にやりたいこと」がたった一つの真実としてどこかに必ずあるはずだと暗に想定していますが、そのような見解は自分の多様性を押し殺すだけでなく、こうした時間的変化の可能性を無かったことにしています。このことを考慮すれば、「自分の心に従う」ことがいつでも適切なわけではないというのは確かでしょう。谷川嘉浩著 スマホ時代の哲学
耳が痛く、そして深く理解できる箇所です。
自分自身も、前職時代にずっと「いつかやりたい」と思っていたことがいくつもあります。そして、実際に時間ができてみると、やりたいことリストの中でも優先順位のような、やることが苦にならないこと、やるのに少し気合いがいるもの、何から手をつけていいかわからないもの等、それぞれが同じ熱量で取り組めるわけではないことを思い知りました。
そして、「ずっとやりたかった」から必ずしもやらなければならないわけでもないよなと思いました。無理しないとやれないことは、向いていないのではないかと、そんなふうに考えるようになったのです。
かつて、ある漫画で「とんとん拍子に進むのは、その道が自分に向いてるから」というセリフがありましたが、それを思い出させるような状態でした。
ただ、ある意味で諦めて手放したからこそ気が楽になった側面も大いにあります。
一度やってみて適性がないなと思ったらさっさと損切りするくらいの、フットワーク軽めの方が、選択肢を減らしてリソースを投下する対象を絞る過程には必要なのだなと思った次第です。
現代の自分たちにすくう、スマホ時代の自己像について
「自己崇拝」とでも言いたくなる自分への過剰な関心は、単純化された自己像を齎しかねないだけでなく、「趣味」として取り組んでいるものを、自分の悲惨さから目を背けさせる「気晴らし」に変えてしまいかねないからです。
その時に趣味は、簡単に「あいつよりも俺はすごいぞ」「バズっていいねもらえた」という自尊心や評判(アテンション)の獲得ゲームに変化します。自己への関心はアテンションエコノミーと極めて相性がいいのです。残念ながら。谷川嘉浩著 スマホ時代の哲学
肝に銘じたい部分ですね。自分自身のためにやることなのに、そこに他者を介入させるといとも簡単に趣旨からずれてしまいます。
ここで必要なのが、最初にご紹介した<孤立>と<孤独>なのだなあと。
他者とのつながりが簡単になりすぎた現代ですから、一人でいる時間、集中する時には他者の介入を求めないように努めないといけませんね。
まとめ
テーマが一貫している一冊でした。
読み進めていて、まったく苦になりませんでした。
自分自身と向き合い、自分が今現在どういう状態なのか、どうしたいのか。それを考えるときに、案内人として機能してくれる本です。
哲学は面白いですね。
友人からもらった、何気ない一言から関心を持った分野ですが、自分は楽しんで学べます。
そういえば、大学受験の時に哲学科に進学しようと思ったこともあったことを思い出しました。その時は「哲学」が何かもよくわかっていませんでしたが…
そして、受験も見送ってしまったのですが、もしあの時あの学科に進学していたらどうなっていたのかは少し気になりますね。
とはいえ、これから勉強しても人生を歩む際の杖にはなってくれそうなので、引き続き勉強していきたいと思います。

Comment