クラブ帰りの、明け方の渋谷駅。
歩道橋のいちばん下、地面に一番近い段に、うずくまって座り込んでいた。
DJをした後だったから、傍らにはパンパンに太ったレコードバッグがあった。彼女の好きな音という無形の宝物が、形となって地面に立っていた。
「帰ろうよ」と少しだけ腕を引っ張ったけど、動かなかった。
見下ろしている僕からの角度では、余韻に浸ってるのか酔って気持ち悪いのか区別がつかなかった。
どうすればいいのかわからなかったから、立ち上がるまで横に座って、時間が経つのを眺めていようと思った。
空の明度が上がっていき、黒から青に変わっていく。
濃紺になったくらいの時間に、休日とはいえ少しずつ人々が歩き出す。
僕はそれを見ながら、あなたの家まで20分くらいだなと、頭の中で時計を回す。
一緒に帰ろうと立ち上がったので、まだ混んでいない井の頭線に乗った。
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